Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
その前にある経机には香炉と、水瓶をのせ、やや退がって、阿闍梨性範の席、左右には、式僧が、七名ずつ、これも、眼たたきもせずに、それへ入ってくる九歳の発心者を、じっと、見つめていた。僧が、そっと側へきて、
「和子、お召し物を、かえられい」と、教えた。
「はい」十八公麿は、すらり、と水干を脱いだ。
冷やかな、木綿の素服が、その前へ、与えられる。――範綱はふと、胸がせまった。
「こちらへ」
僧が手をひいて、壇の前へ、坐らせた。小さな彼の手は、彼がするともなく、また、人が教えるともなく、ひたと、合掌して、頭をすこし下げた。
流転三界中
恩愛不能断……
むらさきの糸がのぼるように、縷々と、香炉の中から、においが立って、同時に、列座の衆僧の声が朗々と、唱和した。
帰依大世尊
能度三有苦
十八公麿のくちびるも、共に、かすかにうごいていた。彼の姿は、この天井のたかい大伽藍の底にすわると、よけいに、小さく見えるのであった。
「…………」慈円僧正は、座を立った。
僧が二人、左右から、紙燭を捧げる。
一人の僧はまた、盤のうえに、剃刀をささげ、また、一人は十八公麿のそばに寄って、水瓶を捧げていた。