Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
「これっ、どこへ参る」性善坊がうしろから抱き竦めると、女は、甲ばしった声で、
「どこへ行こうと、大きなお世話ですよ、離してください」
「離せません。おまえは死のうとする気じゃろう」
「死んでわるいんですか」青白い顔を向けて、女は、食ってかかってくる。その眼ざしを見て、
(これは)と性善坊は思わず面を背けてしまった。
つりあがった女の眼は、光の窓みたいに尖っていた。髪は肩へ散らかっているし、水浸しになった着物だの、肌だのを持って、寒いとも感じないほど、逆上してしまっている。
「なぜ悪いのさ」女は僧侶のすがたを見て、ことさらに反感を抱いたらしく、かえって、詰問してくるのだった。
「わるいにきまっています。人間にはおのずから、定められた寿命がある。一時の感情で、生命をすてるなどは、愚か者のすることです」
「どうせ私は、愚か者です。愚か者なればこそ」しゅくっと、嗚咽して、
「男に……男に……」他愛なくわめいて、また、
「死なして下さい」
「そんなことはできない」
「面当に、死んでやるんです」と、おそろしい力でもがいた。
性善坊が持ち前で、そのかぼそい手頸を捻じ上げて、範宴の来るのを待っていると、女は性善坊が憎い敵ででもあるように、指へ噛みつこうとさえするのだった。