Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
「畜生」弁円は、そこからいちど、里の方へ逃げだした。そして、黒を遠い松林の奥へ荒縄で縛りつけて出直そうとした。
わん、わんっ、わんっッ――
彼の姿を見送って、黒は、発狂しそうに吠える。何となだめても畜生のかなしさである、弁円は、研ぎすました戒刀を抜いて、犬の鼻へ突きつけていい聞かせた。
「おとなしく、一晩、ここで待っていろ。――いいか、褒美には、後で、似非聖者の生き血をぞんぶん舐めさせてやろう」
六
まだ春は浅い、月は若い、肌寒い初更なのである。
山清水の溜井に垢離をとって、白い下着に、墨の法衣をつけ、綽空は、叡福寺の厨から紙燈芯を一つもらって、奥の御霊廟へ一人すすんで行った。
寂とした窟、その前の荒れ果てた、一宇の堂、昔ながらである、何もかも、ここだけは変っていない。
「アア!」思わず出た真実の息である、永い旅のさすらいから戻ってきた人間の子が、心の故郷へ立ち帰った時の感激にも似ている。
綽空は、胸の底から湧き出た声と一緒に、廟前の床にひれ伏していた。
日域ハ大乗相応ノ地
諦ニ聴ケ諦ニ聴ケ我教令ヲ
今も耳にある。十九の冬、この床に骨ばかりの身を坐らせて、七日七夜の祈念のうちに、夢ともなく、太子のおん姿を見、そして、壁に見出した御告命の文字を。