Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
愛くるしい――何かにつけて、表情に富んでいて、深い笑くぼが、絶えず明るい顔にただよっている――どっちかといえば、時世的な容貌を鈴虫のほうは持っていた。
「あら」と、その鈴虫が、とある門前へ来て、かるくさけんだ。
「松虫さま、どうしたんでしょう、牛車が見えません」
「ま。――ほんとに」
「あの、暢気者の牛飼は、いったい、どこへ行ってしまったんでしょう」
「すこし耳が遠いようですから、私たちが、ここへ来て待つようにといったことばを、聞き違えて、飛んでもない所へ行って、悠々と、昼寝でもして、待っているのじゃないでしょうか」
「そうかもしれない」ちょっと、麗わしい眉をひそめて――
「どうなさいます」
「歩きましょう」
「まだ疲れません?」
「ええ、ちっとも」二人はまた、木蔭の日陰をたどって、歩きだした。
町家の娘ではなかった。といって、武家の息女とも見えない。――どこかに、絶えずこの明るい外気を楽しんだり、往来のさまや、空の青さを、心から珍しがっている様子から見るに、よほど、ふだんは外に出ない境遇にある人だということはわかる。
町の女のように賤しくなくて、そういう生活にある者といえば、さしずめ、このふたりは、御所の裡に仕えている女官にちがいあるまい。