Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
ちょっと出るにも、帰るにも、こんな憂いが離れない内裏の生活を思うと、彼女たちは、
(なぜ御所へなど上がったのか)と、悔いの嘆息が出るのだった。
町家にいたころは、御所の内裏といえば、どんなに典雅で平和で女性の幸福を集めているところかと、あこがれていたものである。――そして、そこの多くの女性のうちでも最も羨望される寵妃となって、上皇の愛を賜うほどな身になった今日になってみれば、昔の憧憬れは、まことに幼稚な少女の夢にすぎなかった。
なるほど、身にだけは、珠をかざり、綾を着て、和歌や絵にある生活のままな姿はしているが、上皇は、御政治のことさえ、今帝におまかせしきれないほど、御気質の烈しいお方であるので、後宮の彼女たちには、口にも出せない気苦労がある。
その上に、寵妃たちを取り巻く、典侍とか、女官たちのあいだには、閥の争いだの、意地わるい嫉視だのがあって、日蔭で冷ややかに歪くれた眼と眼が、絶えず、行儀作法の正しいなかで、根強い呪いと闘いを交わしているのが、ほとんど、明けても暮れてものことなのである。
「ああ……」松虫がこうつぶやくと、鈴虫も俯向いたまま、重い吐息をついて歩いた。