Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
十
「介っ、介――」と、呼んだ。介は、階段の下に、黙然と浮かない顔で腕ぐみに沈んでいたが、
「はいっ、介は、これにおりますが……」
「オオ、急いで、お医師の所と、その足ですぐに、六条の兄君のところへ、お報らせに走ってくれい」
「では、お病状が……」
「ウム、もはや望みがないかも知れぬ。いそいでゆけよ」
「はいっ、はいっ」木戸へと、駈けて行くと、
「介っ――」と、宗業はもいちど、声をかけた。
「くれぐれも、六波羅衆の息子などにかまうなよ。何と罵しられても、耳をおさえて、走って行くのだぞよ。よいか」
「はいっ」
「頼むぞ、はやく」介は、築地の木戸を開けて、夢中で外へおどり出した。
十
洛内のほうへ向って、介が、わき目もふらずに急いでゆくと、寿童丸とその家来たちは早くも彼の姿を見つけて、
「犬が行く、痩せ犬が、尾をたれて行くぞ」
「さっきの広言、何としたぞ」
「腰ぬけっ」またしても、悪たれや小石を、後ろから浴びせるのであったが、介は宗業のことばを思いだして耳の穴をふさぎながら、
「――堪忍、堪忍、堪忍」と口の裡で唱えて、後ろも見ずに洛中へ急いで行った。
そうして、六条の範綱の館まで、一息に来たが、折わるく範綱は後白河法皇の院の御所へまかり出ていて、まだお退がりにならないという。