Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
四
四
風ではない――ほとほと戸を打つ者がある。今ここを訪れる者は絶対にないはずであるがと思いながら、
「生信房」と、善信は呼んでみた。
もう夜更けであった。答えがないところを見ると、生信房も眠っているらしい。玉日も嬰児を寝かしつけている。
「――どなたでおざるの」善信は自身で立って行った。戸の外では、
「わたくしです」と誰かいう。何気なく、草庵の戸をあけて、善信はびっくりした。
「おお弟っ……」
「兄上……」
「どうして此庵へは……。まあ上がれ」手を取って一室へ。
坐ると、もう兄弟は、胸がいっぱいだった。
同じ都の、すぐ目と鼻の先にいながら、二人の会う折は極めて稀れだった。会うごとに、何から話し出してよいかと思い惑うほどに……
「近いうちに、越後へお立ちなされますそうな」
「む。――十六日というお沙汰じゃ」
「十六日。……ではもう間近に」
「されば、お汝とも、これがお別れじゃ。ひたすら、修行をされい」
「はい」
「お汝の師、慈円僧正は、わしにとっても、幼少からの恩師。思えば、お手をとって童蒙のお導きをして賜うたころから今日まで、憂いご心配のみかけて、その後のご報恩とては何一つしていなかった。