Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
そのうちに一人が、
「お上人様、お上人様」と、呼んだ。
「おい」と、上人は泥によごれた足を、畦の流れで洗いながら、百姓ことばで答えた。
「なんじゃの、与茂作どの」
「あれごろうじませや、あちらの田ン圃の向こうから、裏方様の背におぶさった姫さまが、こちらを見て、可愛いお手々を振ってござらっしゃるではないか」
「ほ、ほ……ほんにの」親鸞も、微笑を送った。
「可愛や、お父さまの姿を見て、はよう田から上がりなされと呼んでござらっしゃるのじゃ、お父様も、手を振っておあげなされ」
「こうか、こうか」親鸞は、いわれるまま、手を振りまわした。
――念々称名の水をかけ
往生の秋になりぬれば
と、百姓たちは、農具を肩にかついで、三々伍々、唄って帰った。――そして、稲田の草庵の前を通る時には、どんな幼い者でも、必ず、
「――なむあみだぶつ」と、御堂の中の阿弥陀如来へ向って、外から礼をして通った。
五
筑波の山の影が、田水に落ちていた。親鸞は、泥足を洗って、
「アア、今日もよい一日を送らせていただいた」と、腰を伸ばした。草庵へ帰っても、
「愚禿の親鸞には、いとも覚つかない大任ですが、今日も御力をもって、よい教化の一日を暮らさせていただきました」