Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
「ありがとうございます」と、お吉は、心のそこからうれしそうだった。そして、奉仕の綱にすがって、懸命に、働いていると、その青白く面窶れした頬に、若い娘のような紅潮がさしてきて、世帯痩せの苦労も何もかも、その間は、忘れているように見えた。
七
「この阿女っ」不意だった。ぐわんと、鼓膜がやぶれるほど、お吉の横顔を撲りつけて呶鳴った者がある。
二十七、八の壮んな筋肉を持っている男だった。職人烏帽子を後ろへ落し、仕事着の片肌を脱いでいて、汗の光っている毛穴には、鋸屑がたかっていた。お吉の亭主の平次郎なのである。
「あっ――皆さん」お吉は、隼に見込まれた小鳥のように、よろめきながら、綱曳きの仲間の者のかげにかくれ、
「謝ッて下さいっ、皆さん、良人のひとへ」と、もう泣き声だった。
「うぬ」と、平次郎は、女房のそばへ寄ってきた。
「性なしめが」と、平次郎の手は、すばやくお吉の襟がみをつかんでいた。そして、大地を引きずり廻しながら、
「いってもいってもこの阿女は、碌でもねえことをしやがって、おれのいいつけを、なんだと思っていやがる」足を上げて、蹴飛ばした。
「すみません、もう決して、ここへは参りません」