Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
ぱっと、彼はそこを逃げだした、家の方へも行かなかった。そのまま足を他国へ向けて、永久にこの土地を捨てるつもりだった。
だが――村境まで来て、すこし落着くと、それもまずいと思った。自分から土地を捨てて逃げれば、お吉の殺害を、自分で証明していることになる。
いくら脛を飛ばしても、領主の令が伝われば、郡境や村境の木戸で、すぐ捕まるにきまっている。半日とは逃げきれないかも知れない。
「――山へ」と、眼を上げたが、意地わるく、胃の腑は空になっていた、それに、炭焼や木樵まで、自分の顔を知らない者はない。
「……そうだ」彼は、その時もう高くのぼっている朝の陽で、初めて、自分のすがたを見直した。さだめし血みどろになっているであろうと思った、着物にも、何も血らしいものはついていないのだ。
だんだん腹がすわってきた。平次郎は、田へ下りて水で顔や手足を洗い、農家の裏にあった藁草履を足に履いた。そして、わが家へも廻らずに、そのまま元の柳島へ引っ返してきたのである。
――入仏式の鐘はしきりに鳴りだしていた。この日は、嘉禄元年の四月の半ばであった。沃野には菜の花がけむっていた、筑波も、下野の山々も、霞のうちから、あきらかに紫いろの山襞を描いていた。