Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
かたんと、音がしたようであったが、返辞がないので、
「栗鼠か」と、つぶやいた。よく、板の間を、栗鼠が後足で踊ってあるく。
時には、巨きな禽が来たり、床下から、山猫が、琥珀色の眼で、人の顔を、のぞきあげたりする。
食物が、失くなることは、たびたびであるし、狐の尾に、衣の裾を払われることは、夕方など、めずらしくない。
(怖い)山に馴れないうちは、範宴は、恐ろしくて幾たびも、都の灯が恋しかった。座主から、
(そんなことでは)
と、笑われても、本能的に、恐かった。座主はまた、
(世に、恐いものがあるとすれば、それは人間だ。人間に、恐いものがあるとすれば、それは自分だ。――自分の中に棲む狐や、鷲や、栗鼠は、ほんとに恐い)と、いわれた。範宴にも、すこし、その意味がわかる気がした。
稚い者に話す時には、稚い者にもわかるように、よく噛んで話してくれるのが、慈円座主の偉さであった。都という話が出た時に、
(範宴――、よう見えるか)と、ある時、比叡の峰から、京都の町を指さしていう。範宴が、うなずいて、
(見えまする)と答えると、
(何が)と、訊ねた。
(町が、加茂川が、御所が。――それから、いろんなものが)