Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
「範宴、また来るぞ」鏃のような鋭い彼の眸に対して、範宴の向けた眼ざしは春の星のように笑っていた。
「オオ、また参るがよい」
「ふふん……負惜しみのつよい男だ。人もあろうに、俺のような人間に、女犯の証拠をにぎられたのが汝の災難。一生末生、つきまとって金をせびるものと観念しておけよ」
「ふかいご縁じゃ。いつかはこの浅からぬ宿縁に、法の華が咲くであろうよ」
「まだ囈言を吐いていやがる。おれの悪を偽面とぬかしたが、汝も、聖めかしたその偽面を、ぬぎ捨てて、凡下は凡下なりに世を送ったほうが、ずんと気が楽だろうぜ。はははは、坊主に説教は逆さまだが、俺の経文は生きた人間へのあらたかな極楽の近道なのだ。……どれ、だいぶ寒い思いをしたから、今夜は八瀬の傾城に会ってその極楽の衾に、迦陵頻伽の声でも聞こう。おさらば」
盗賊の習性として、現場を退く時の身ごなしは眼にもとまらないほど敏捷であった。廻廊へ出たと思うと、四郎の影も、手下どもの影も、谷間を風に捲かれて落ちる枯葉のように、たちまち、その行方を掻消してしまう。
さっきから歯の根もあわず、縁の柱の蔭にすくんでいた尋有は、悪夢をみているような眼でそれを見送っていた。