Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
時々、辻へ来て、はっと上げる眼ざしは、うつつで、底光りがして、飛び出しそうな熱をもって、無心な者はぎょっとする。
だが、彼の姿を、往来の誰もが、そこらにうろついている物乞い僧と同一視していたのは、むしろ幸いといわなければならない。なぜなら、もし、聖光院の門跡範宴少僧都が、そんな身装をして、この朝まだきに町の中を通っているのを見つける者があったら、さなきだに今、彼の行方は社会の問題になっているし、月輪の姫との恋愛沙汰なども、喧ましくいわれているところなので、たちまち、
(破戒僧がいた)
(範宴少僧都があるいている)と、興味や蔑しみの眼があつまってきて、彼の姿を見世物のように人が見に集まってきたかも知れないのである。
そういう実は危険な往来であったが、範宴その人は、少しも、それには意をつかっていない。――ただ、求法のもがきだけだった。今の闇を脱する光明をつかみたい。出離生死の大事――それにのみ全能はかかっている。
「ああ」四条の仮橋の欄を見ると、綿のようにつかれた体は、無意識にそれへ縋った。夜来の雨で、加茂川は赤くにごっていた。
濁流の瀬は逆まいて白い飛沫をあげていた。