Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
あの折も、仏学に対する懐疑で真っ暗でした。今も真っ暗なのです。――いやむしろ、あのころのほうがまだ、実社会にも、人生の体験も浅いものであっただけに、苦悶も、暗い感じも、薄かったくらいです。自分ながら時には暗澹として、今も、加茂の濁流を見ていたところなのです。私のような愚鈍は、所詮、死が最善の解決だなどと思って……」
そういう淋しげな、そして、蒼白い彼の作り笑顔を見て、法印は礼拝するような敬虔な面持ちをもって、
「それが範宴どのの尊いところだと私は思う。余人ならば、それまでの苦闘を決してつづけてはいないでしょう。たいがいそれまでの間に、都合のよい妥協を見つけて安息してしまうものです。あなたが他人とちがう点は実にそこにあるのだ」
「そういわれては、穴へも入りたい心地がします。すでに、世評にもお聞き及びでしょうが、私という人間は、実に、矛盾だらけな、そして、自分でも持てあます困り者です。その結果、がらにもない求法の願行と、実質にある自分の弱点が呼んだ社会的な葛藤とが、ついに、二進も三進もゆかない窮地へ自分を追い込んでしまい、今ではまったく、御仏からは見離され、社会からは完全に葬りかけられている範宴なのです。