Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
門を訪ねるということは、なにか、自己の威権にかかわるような気のしていたものである。
ことに、凡の学徒や究法の行者とちがって、生きるか死ぬかの覚悟で、まっしぐらに大蔵の仏典と人生の深奥に迷い入って、無明孤独な暗黒を十年の余も心の道場として、今もなお血みどろな模索を続けている範宴にとっては、そういう市塵や人混みの中に、自分の探し求めているものがあろうなどとは絶対に思えなかったのである。吉水の禅房と聞き、黒谷の念仏門と聞き、法然房源空と聞き、幾たびその噂が耳にふれることがあっても、まるで他山の石のような気がしていたのであった。それが今――今朝ばかりは――
「お! 黒谷の上人」何か、胸の扉をたたかれたような気がした。
「ぜひ、行ってご覧なさい」法印は、重ねてすすめた。そして、別れて立ち去った。
「黒谷の上人」範宴はつぶやきつつ、後を見た。もう法印の姿は往来に見えない。頂法寺の塔の水煙に、朝の陽がちかと光っていた。
「法然――。そうだ法然御房がいる」九十九日目の明けた朝であったのも不思議といえば不思議である。如意輪観世音の指さし給うところか、範宴はすぐ心のうちで、