Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
「おや?」何を見つけたのであろうか、そのうちに、水草のなかへ手を突っこんで、
「オ、これは、いつぞや奥の御方が、鞍馬の遮那王様へ贈るといって、心をこめて、お書きあそばした写経じゃないかな。――吉次のやつ、かような所へ捨ておって、鞍馬へは持って行かなんだとみえる」水びたしになった塗筥や、巻をひろいあげた。そして、
「憎いやつめ」腹だたしげに、踏み折れている草の足痕を、睨めつけている。
そこへ、範綱、宗業の二人が、連れだって姿をみせた。昂奮した顔つきで、侍従介が写経のことを訴えると、
「ふむ……捨てて行ったか」二人はそれを見つめて、しばらく考えこんでいた。けれど、範綱も宗業も、べつだん不快な顔いろは出さなかった。捨て去る者には捨て去るものの心がまえがあるのであろう、浄土の幸は人に強うべきものではないし、また、この社会には、浄土をねがうよりも、すすんで地獄の炎をあびようとすら願う者もあるのである。――たとえば、文覚のように。
二人は、そう考えた。そして、遮那王の将来を心のうちで占った。中山堂の丘に、ちらと見えた野狐のような男の影は、ことによると、先ごろの夜、この日野を訪れた吉次であったかもしれぬと、それをも、同時に、覚っていた。