Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
だが、行きとどいた細かい心づかいは、すべて、好意の光であることに間違いはない。その好意に対して、徒らな邪推や遅疑を抱くべきではあるまい。綽空はそう解して、箸を取った。
翌る日もそうだった。次の夜も帰ってみると草庵は清掃されてあった。
それのみではない。薄い夜の具に代って、べつな寝具が備えてある。決して、ぜいたくな品ではないが、垢のにおいのないものであった。
二
それは、幾日かの謎だった。しかもほのかに、女性のにおいの感じられる謎なのである。
陶器一つにも、身に着ける肌着の一針にも、絶対に、女性の指に触れないもののみで潔浄を守っている僧の生活なのである。どんな微かにでも、女粉に触れたものはそれを感じる。なやましい移り香を感じる。
綽空は、その夜の具にくるまれて、この幾夜かを、ふたたび夢魔に襲われとおした――いや魔というべくは余りに和らかい悩ましさである。梨の花の甘い香いにも似ている、木蓮の肌理の細かな感触にも似ている、どうしても、この蒲団の綿は、女手でつつまれたものである――女の真ごころのように綿が温かい。若い一寒僧には、余りに温かすぎるのだった。