Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
しかし、胸がいっぱいだ、綽空は何も今朝はいえないのである。玉日はまして、俯向きがちだし……。
膳を、水屋へ運んで行った万野も、ひとりで、何か満足している。松の樹洩れ陽が、台所の棚にまでさしこんで、そこも、今朝から塵もない。
「お迎えに参りました」と、門口で西洞院から来た小侍と雑人が声をかけた。
「おお」われに返って、綽空は、妻へいった。
「今日から、日々、吉水へ参るのだ、そなたも、一緒に」
「はい」
「かねて、わしが、そなたに向って申し聞かしたことども、よく、胸にこたえておるか」
「わかっております」
「ここから吉水までは、道は近うもあれ、百難の障碍が必ずあるぞよ、不退の二字、胸に、わすれるな。いかなることがあろうとも、揺るぐな、躁ぐな、怯えまいぞ、綽空が、一緒だと思え、良人の力、御仏の御加護があると思え」雑人たちは、輦のそばで、牛飼をさがしていた。牛飼は、稚子と共に、牛を泉のほとりへ曳いて行って、のどかに、草を飼っているのであった。
三
「ご用意ができました」と、庵のうちへ雑人の一人がいう。
「おう」と、綽空は立つ。玉日も、庵を出る。
その日二人の装粧いは、晴の席へ臨むような盛装であった。