Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
「えっ? 犬が」
「弁円の飼犬なのでしょう、一声、もの凄い声をあげて吠えました。驚いて振向いたので、私は初めて、私を殺そうとしている人間がすぐ後ろにいることを知ったのです。犬も、飼主に力を協せて、私へ向って噛みついてくるのかと思っていますと、さはなくて、弁円の刃を持っている腕へ武者ぶりついて離れないのです――私が辛くも逃げることができたのは、その隙があったからで、思えばあの犬は、畜生とはいえ、怖ろしい殺害の罪を犯すところであった飼主をも、同時にその罪から救うたものといえまする」
「ほ……」心蓮は、いよいよ心を衝たれ、
「さても、ふしぎなこともあるものですな。その犬は、この先の雑木林の中に縛りつけられてあったのを、私が、縄を解いて放してやったのですが」
「あなたが?」
「そうです――私が」
「…………」氷柱の軒下に立ったまま、二人は黙然と、いつまでも顔を見合っていた。眼に見えぬものの大きな力をこの宇宙に感じずにいられないもののように。
もし心蓮が、あの時、黒犬の縄を解いてやる気にならなかったら、善信は今ごろどうなったろうか。
二人は坐ってしまった。御葉山の御廟のほうへ向って、われを忘れて、数珠の掌をあわせ、仏の弟子である欣びに声を出して念仏していた。