Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
「――誰も追ってきませんね」
「よいあんばいに」
「ああ、ほっとしました」
「もうそこが」
「ええ、鹿ヶ谷です」顔を見あわせて、ほほ笑みを見あわせた。
彼女たちはこの山を、半年のあいだどんなにあこがれていたか知れない。この夏の専修念仏会の日からである。
「とうとう、来てしまいました。……けれど、これでほんとの人間に生き甦った気がします」
よくぞ思い切って脱れてきたと、自分で自分の勇気を宥わるのであった。しいんと、冬の夜は冴え返っている。眼を閉じて、捨ててきた過去の生活を考えると、よくも、そこに長々といたものかなと今さらに思うのであった。
あの嫉視と邪智の泥沼に。嘘と見栄だけにつつまれた臙脂地獄に。
「も少しです、ご庵室は」
「いそぎましょう」
「住蓮様は、おりましょうか」
鈴虫は、よく住蓮の名を口にする。――松虫はまた、若い安楽房のすがたが、なぜか忘れ得なかった。
彼女たちは女である、彼らはまた、若い男性なのだ。こうして、生命がけで、御所をすてて逃げてきたのは、ただ仏陀だけが魅力だったとは思われない。やはり、恋にちがいないのだ。鈴虫は住蓮を、松虫は安楽房をあの専修念仏会の夕べから忘れ得なくなっていることは否めないことであった。