Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
「……え。……ですが、私たちは、このお山に、死んでもいたい気がするのです」鈴虫は、そういった。住蓮は、いつとはなく、彼女の手を引いてやっていた。安楽房は、急な坂にかかると、松虫の局を背に負って這い登った。
――捨てられない。若い住蓮は心のうちでそう思った。おそらく安楽房も同じであろう。どうして、この無力な、そして自分たちを、かくまで信じきっている女性を、このまま振り捨てられよう。
あたりの樹々は、露が凍って、白珠をつらねたように氷が咲いていた。大地は、針の山に似ている冱寒の深夜だった。けれど、四人の若人の息は、血は、さながら火と火のように熱かった。
やがて、二十町も登ると、
「やっと来ました。ここです……」と、住蓮は、戸の閉まっている一軒の小さな空家を指さした。どこかで、滝が鳴っていた。
三
めったに開けたこともないような一軒家である。廂や戸は朽ちているし、床に敷いてある物も黴のにおいで蒸れていた。ある堂守が住んでいた後に、住蓮と安楽房がしばらくここに生活していたことがあるので、貧しい炊ぎの道具や灯りをともす器具などはあった。
「ここならば、しばらくの間は、世間の眼にもふれずにおられよう」