Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
「……あっ、火事じゃ」
「そうだ」
「どこだろう」二人は出て行った。ガタガタと建付けのわるい雨戸を繰り開ける音がする。そこから立って見まわすと、ちょうど西のほうに当る空がいちめんに赤く、チラチラと、金の屑を噴くように火の粉が夜空にうごいていた。
「ほんに……。町とすれば、いつもわしらの托鉢に行く家が軒並に焼けているのではあるまいか」
「皆も、起そう」師の眠りはさまたげたくないが、西仏や教順には告げようと思った。すぐ人々は起きそろって来た。
「懇意の衆が多いから、わしはちょっと見舞ってくる」気のはやいのは、西仏であった。――また、炎を見ると、なにかうずうずと血管が唆かされるような眼をしているのは、生信房であった。
その二人は、いつのまにか、炎を目あてに、町のほうへ走って行ってしまった。
竹内から国府へ通じている丘の道へ来ると、炎は、眼のまえに見えた。
「あっ、代官の館だ」
「えっ、年景の」生信房は、しばらくの間、立ちすくんで火災の美しさに見恍れていた。――そして、いつであったか、ずっと以前に、代官の萩原年景のために、鞭で打たれ、馬に蹴られて、御名号を奪われかけたあの時のことをふと思いうかべ、(仏罰じゃ)ちょっと、小気味よい気がしたが、生信房は、すぐ自分のその気持を、自分で蔑んだ。