Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
五
「――もの申します、これは紀州高野の山よりまかり下りました行人にござりますが、当所の上人に拝顔を得とう存じて参じてござる。お取次の衆より上人まで、よろしゅうお願い仕る」ついさきごろまで、備前児島の城主であった彼である、鎌倉の覇主頼朝に対してすら、ついに頼朝の死ぬまで屈しなかった彼の膝であった。
その高綱が、大地に手をつかえて、こういった。――と、厨のほうから、縁づたいに、紙燭を持って通りかけた石念の妻鈴野が、ふと、門口にうずくまっている人影を見て、
「どなた様ですか」こういうと、高綱は起って、ふたたび来意を述べ直した。
その声が、奥へ聞えたのであろう、誰か出てくる足音が聞えたと思うと、
「旅のお人」と、ほの暗い家のうちの端に、六十ばかりの僧が佇んで、鈴野のほうへ向いて訊いた。
鈴野の手にある紙燭の小さい灯が、老僧の顔にゆらゆらとうごいた。
四郎高綱は、何気なく門口からその人を仰いで、
「あっ!」さけぶとともに、身を弾ませて、飛びついてきたのである。
「兄者人っ」
「ええ?」老僧は、愕として、自分の法衣の袂をつかんでいる旅人をじっとしばらくのあいだ見つめていた。