Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
「では、その女というのは、十九か、二十歳ほどの、京都ふうの愛くるしい娘ではありませんでしたか」
「よく見ませんでしたが、天城四郎は、梢、梢と呼んでいたようです」
「あっ、それでは、やはり……」範宴は、弟の愛人が、まだ弟に思慕をもちつつ、賊の四郎に反抗し、彼の強迫と闘っている悲惨なすがたを胸にえがいて、たえられない不愍さを感じた。
「どの方角へ行きましたか」彼は、そういって、立ちかけたが、衰えている肉体は、朽ち木のようにすぐ膝を折ってよろめいてしまうのであった。法印は、抱きささえて、
「賊を追ってゆくおつもりですか。およしなさい、一人の女を救うために、貴重な体で追いかけても、風のような賊の足に、追いつくものではありません」
「ああ……」涙こそながさないが、範宴は全身の悲しみを投げだして、氷のような大床へ俯つ伏してしまった。
自分の無力が自分を責めるのであった。弟はあれで救われたといえようか。弟の女は、どうなってゆくのだろうか。裁く力のない者に裁かれた者の不幸さが思いやられる。
「――もうやがて夜が明けましょう。範宴どの、またあすの朝お目にかかります」燈りだけをそこにおいて、聖覚法印は、木履の音をさせて、ことことと立ち去った。