Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
七
茜いろの都の空にまたしても悪鬼や羅刹のよろこび声が聞える時の迫りつつあるのではないかと戦慄した。
夜明けごろ、北の寝屋の奥に、朝麿がむずかるのであろう、幼子の泣き声がしばらく洩れていた。
(そうだ……。何よりは、法皇のおこころが第一、法皇さえおうごきにならなければ――)
うとうとと眠りぎわに彼は何か心の落着きを見つけていた。とたんに眠りに入ったのである。
眼がさめたのは従って常よりも遅かった。雨あがりの陽が強烈に眸を刺し、空は碧く、五月の若葉は、新鮮であった。
七
院の御座所をさがってくると、範綱はすこし眉をひらいた。法皇の御けしきによっては、随分、面をおかしても御諫言するつもりであったが、
(さすがは、老練でいらせられる、あの御烱眼ならば――)と、まずまず、安心して、いわんとすることは、暗示ぐらいな程度にとめて、御簾所を退がってきたところであった。
院を中心にして、策動し、流言し、暗中飛躍をする無数の政客や、武人や、策士を、法皇はやはり高い御座のうえからよく観ておられると、今さら心服するのであった。もっとも、平治、保元の動乱期にあって、法皇ほど、御苦労もなされ、また、人間の表裏反覆と、烈しい権力の争奪を眺められたお方はない。