Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
七
「えっ……兄君が」待ちかねていたのであろう。朝麿は聞くや否や、あわてて褥の外へ這いだした。
「朝麿、そのままにしていなさい、寒い風に、あたらぬように」
「兄君っ……」涙でいっぱいになった弟の眼を見ると、範宴も、熱いものが瞼を突いてくるのを覚えた。
「め……めんぼく次第もございません……。こ、こんなところで」
「まあよい。さ……梢どの、衾のうちへ、病人を」寝るようにすすめたが、朝麿は、兄のまえにひれ伏したまま、ただ泣き濡れているのであった。範宴は、手をとって、
「何年であったか、おもとと、鍛冶ヶ池のそばで会った時に、わしは、およそのことを察していた。今日のことがなければよいがと案じていました」
「すみませぬ」
「今さら、どういうたとて、及ばぬことだ。――それよりは、体が大切、また後々の思案が大事。とにかく、衾のうえにいるがよい、ゆるりと話そう」無理に、蒲団の中へもどして、弟にも梢にも、元気がつくように努めて微笑をもちながら先行きの覚悟のほどを聞いてみると、もちろん、恋し合ってここまで来た若い二人は、死ぬまでも、別れる気もちはないというし、またふたたび、親たちのいる都へ帰る気もないという。