Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
六
朗詠でもするように、法然の声は、澄んでいた。さわぎ立っている無数のたましいの波が、やがてしいんと、法の声に、耳を傾けだしたころに、彼の声は、熱をおび、信念そのものとなって、ぐいぐいと、民衆をつかんで説く。
「――疑うな!」法然は、第一にいうのである。
「まず、念仏を先に唱え候え。――自分の有智、無智、悪行、善行、職業、骨肉、すべての碍障に阻められず、ひたすら、仏光に向って、一念十念、称名あること浄土の一歩にて候ぞや」
――何事が起ったのか、その時後ろの方で、がやがや騒ぎだす者があって、
「え、文覚が」
「文覚が、どうしたと?」
「行ってみい、行って見い」崩れだして、十人、二十人ずつ、わらわらと四条の方へ、駈け降りて行った。
六
水に映された月のように、澄みきっていた法話の筵も、風がたったように掻きみだされた。
「なにや」
「なんじゃと」
振り向く。起つ。そして、次々に、「行ってみい」と、崩れては、走り去る。もうこうなっては、何ものも映らない大衆の心理を法然は、知っていた。
「きょうは、これまでにしておきましょうぞ」
経机に、指をかけて、頭を、人々のほうへすこし下げた。