Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
七
「叡山の座主様から」
「ほ。……弟から?」といって、にわかに、なつかしそうに、
「通せ」
「いえ、もうそれに控えておりますので」見るとなるほど――縁の西側に、一人の坊官が庭上に屈まっていて、声のかかるのを待っている態である。
「お汝か、慈円からの使いは」
「はい。……畏れ多いことにござりますが、この文状ばかりは、直に、お渡しせいと、申しつかって参りましたので」
「大儀じゃった」梅の枝を、その寺侍の手から取って、
「やすんで行け」と、ねぎらった。
月輪殿は、その後で、召使たちをも退けて、ただ一人になってから心静かに文状を解いた、そして読みゆくうちに顔いろに沈痛な影がうごいてきた。明らかに当惑な――そして最大な苦悩を心のうちで揺りうごかされている眉だった。
「弟も、弟ではある」その文状には、こういう意味のことが書いてあった――。今ここに一人の青年が死か生かの岐路に立っている。見ごろしになし得ない仏者である自分にも、この青年をすくうて取らす力がない。青年とはいうまでもなく自分が九歳の時から手しおにかけて愛育した綽空であるが、なんとか、ご分別はないか――よいご思案はないか――。