Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
二
――この二つの下に生きる人間は、やはり、孤であってはならない、西行のごときさすらい人とならない限りは。
彼岸へ、一人でわたれる者は、選ばれた者のみだ。衆生は、二人で棹さすのでなければならない。陰陽の波にのせて。
そのいずれにも徹しきれないで、混濁の汚海にあえぐ愚かな今の僧人よ! 衆生よ!
綽空は、箸をとりつつ、ひそかにこう思う。
(いかに、今朝の自分の姿が、安心と、満足とにかがやいているかを。なぜ、人々はこうなれないのか)飯を盛った茶碗の中へ思わず微笑んでいたのである。まばゆげに、それを見て、新妻の玉日も、白珠のような歯を、ちらと見せて、ほほ笑んだ。
「ははは」綽空の今朝の明るさ。体が、軽いのである。
太陽の下へ出て、人間と生れさせてくれたことを、感謝したい。御仏の足もとにぬかずいて、二十年の蒙をひらいてくれたことを心から感謝したい。草へも木へも、よろこびを伝えたい。
なおさらなこと、わがよき妻へはなんと、感謝しよう。
(おん身は、わが凡身を浄化するために、かりに、人間に添い給う観世音菩薩でおわすぞ)と、いおうか。それともまた、
(玉日、そなたはわしに救われ、わしはそなたに救われた、この結縁から、わしら夫婦は、何を生まねばならないか)といおうか。