Classici giapponesi con furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Leggi 親鸞 (しんらん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 566.138 caratteri · 1127 schermate
沙門西仏
と差出人の名が目についた。
三
「――沙門西仏、沙門西仏、はてのう――どうも覚えのない名じゃが」四郎高綱はつぶやいた。
手にとった書面の名に、酔眼をぼうとみはって、小首をかしげているていであったが、やがて封を切ってみると、中の書状には、太夫房覚明という別名が記してあった。
「なんじゃ、あの覚明か」大きく笑ったのは何か懐かしい者を思い出したものであろう、玄蕃のほうをちらと見てこういった。
「そのむかし木曾殿の手についておった荒法師じゃ。今では西仏と名を変えて北越におるものとみえる。……何を思い出して書面をよこしたか」杯を片手に、気懶い体を脇息にもたせかけながら高綱はそれを読んでいた。
初めは、昔なつかしい戦場の友を偲んで、微笑をたたえてこれに向っていたが、ふと、苦いものでも噛みつぶしたように唇をむすんでしまうと、同じ所を何遍もくりかえしつつ、
「ウーム……」と、心を抉られたように呻いているのであった。
さっと酔のひいた眉には、深い苦悶と自省の皺が彫り込まれていた。引き裂いて嘲笑ってしまおうとする気持と、そうできない本心の重圧とが、ややしばらく彼の顔いろの中に闘っていた。