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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

自分はひとまずさきに街道へ出て、どこかの立場茶屋にでも腰をかけ、眼を光らせていれば、金輪際にがしっこはないのだ。見つけしだい、あとをつければいいと、そう思って、柳生の使いより先に旅に出たつもりなのだが……。

いくら振りかえっても、早駕籠はおろか、急使らしいもののかげも見えない。

ハテナ?

と与の公、小首をかしげたとたんに、六郷の宿で、この、さきへ行く壺の姿を見つけたというわけなんだ。

儀作の足も早いが、与吉の韋駄天は有名なものです。

今まで毎々ヤバイからだになって、一晩のうちに何十里と、江戸を離れてしまわなければならない必要にせまられるから、いやでも応でも、早足は渡世道具のひとつ。

で……やっと追いついたのが、この神奈川の腰かけ茶屋。

「おやすみなさいやアせ」

「何を言やアがる。やすむなといったって、おいらアこの家に用があるんだ。今ここへ、茶壺がへえったろう」

オットットット! 口をおさえた与吉、見ると、土間をつっきった奥の腰かけに、その茶壺のつつみをそばに引きつけた若党が、渋茶か何かで咽喉をうるおしているから、イヤ、与の公、ことごとくよろこんじまって、