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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

笹便り

一

紙を、筆を――」

と丹波は、おののく手をふって、誰にともなく命じた。

笹便り

一

「どうした、戸のすきにはさんできたか」

と源三郎は、例のかみそりのような蒼白い顔に、引きつるような笑いを見せて、折りから庭づたいに帰ってきた谷大八を、見迎えた。

大八、袴のうしろをポンとたたいて、膝を折り、

「ハッ、うまくやってまいりました。何やら多勢で、ワイワイ論じておりましたが」

「ウフッ、今ごろは丹波のやつめ、さぞ青くなっておることであろう」

そう言って源三郎は、ゴロッと腹ばいになりました。

黄びらの無紋に、茶献上の帯。切れの長い眼尻に、燭台の灯がものすごく躍る。男でも女でも、美しい人は得なものです。どんな恰好をしても、それがそのまま、すてきもないポーズになる。

早い話が、今この伊賀の若侍。

あらたまったようすで、お褥の上に御紋付の膝をならべ、お脇息を引きつけているときは、兄対馬守とはまた別の、一風変わった貫禄がそなわっていて、我武者羅な若々しいなかにも、着飾った競馬馬のような男性美があふれるのですが。

こうして、着流しでやくざに寝ッころがっているところは、また妙に御家人くずれみたいなひねった味が出て、女の子をポーッと上気せさせる。