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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
二
植えこみやら、芝生の小山やらをへだてて、はるかむこうの棟に、伊賀の連中がいすわっているのですが、しんとしずまりかえって、ウンともスンとも答えない。
はやる若侍たちを一手におさえて、師範代安積玄心斎が、
「マア、待て! 早まったことをしてはならぬ。今にも殿がお帰りになろうもしれぬ。その話をうけたまわったうえで、御命令ひとつでは、剣の林はおろか、血の池へもとびこみ、しかばねの山を築こうわれらではないか。コレ、しばらく忍べ」
と、必死にしずめているのです。
事実、今にも源三郎が、フラッと帰ってくるに相違ない――玄心斎は、そうかたく信じて疑わぬので。
しかし。
亡くなった老先生に、萩乃の夫と懇望され、藩主対馬守とのあいだにかたい話し合いがついて、それで乗りこんできたこの婿入り先なのに、その不知火流の道場には、意外な陰謀が渦を巻いていて、肝腎の若君はいま行方不明……。
源三郎に陰膳すえて、道場方とにらみ合い――ふしぎな生活がつづいている。
二
「御気分はいかがで」
峰丹波は、大きなからだに入側の縁をきしませて……表むきはどこまでも、御後室様と臣です。申し訳にそっと片膝ついて障子をあけながら、そう、面ずれの跡のどぎつい顔を、お蓮さまのお部屋へさしいれた。