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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

八

何か仔細がなくてはかなわぬところじゃが」

何もはいっていないとわかると一同大きに強くなって、ガヤガヤ始める。

「一応御家老へ届けいでずばなるまい」

高大之進はその壺の口をつかんで片手にぶらさげ、庭を横ぎって田丸主水正の居間のほうへと、歩きだした。

ひとりが、あとに落ちていた壺の蓋を拾いあげて、

「高先生! 蓋が――」

「蓋などいらん、捨ててしまえ」

「しかし」

と追いすがって、

「壺についておるものですから……」

「そうか。じゃ、まア、蓋も持って行こう」

めんどうくさそうに受けとった高大之進、その、丸い木の上へ奉書を幾重にも貼りかためた壺の蓋を、グイと懐へねじこんで、片手の壺を大きく振りながら、主水正の居間の外へとやって来た。

「御家老様、まだおやすみですか」

「馬鹿なことを言いなさい、年よりは早く眼がさめて困るものじゃ。さきほどから庭がやかましいようじゃが、何かナ? 小判でも掘り当てたかの?」

八

埋宝のことが絶えず頭にあるものだから、、何かというとすぐ、小判を掘り当てたか……なんて、まるでリュウリック号みたいなことばかり言う。

「ごめんを――」

と大之進は、高縁の階をあがって、つぎの間の障子をあけた。