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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
五
舌打ちしたお蓮さまは、ツと立って、障子をひらいた。
丹波である――峰丹波が、ノッソリと突っ立っているのだが。
その顔をひと眼見たお蓮様、あっとおどろきの叫びをあげた。
血相をかえた丹波、右手を大刀の柄にかけて、居合腰で、部屋の外の小廊下に立っているではないか。
「マア、おまえ! どうしたというのです、わたしを斬ろうとでも……」
それには答えず、丹波はハッハッとあえぎながら、
「どこにいます。どこにいます?」
そう言いながら、眼を室内に放って、四隅をにらみまわすようす。
および腰に体をひねって、今にもキラリと抜きそう……ただごとではない。
「どこにいる、今たしかに、この座敷の中で彼奴の声がしましたが」
「どこにいるとは、誰がです。あいつとはエ?」
丹波の剣幕におどろき恐れて、お蓮様は一歩一歩、一隅へ下がりながら、ふと思った――峰丹波、乱心したのではあるまいか、と。
が、そうでもないらしく、丹波は大刀を握りしめたまま、じっとお蓮さまをみつめて、
「今あなたは、このへやで誰と密談しておられた。いやさ、たれを相手に、お話しておられた?」
「誰を相手に? まあ、丹波。