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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
五
お畳奉行別所信濃守様と、たいせつな日光着手の打ちあわせの最中ですから、対馬守、うるさいと言わぬばかり、ちょっと眉をひそめただけで、何事もなげに信濃守へ向かって、
「御承知のとおり、江戸から日光への往復の諸駅、通路、橋等の修理の儀は、公領のところは代官、私領は城主、地頭寺社領にいたるまで、すべてわれわれにおいて監督いたし、万手落ちのないようにしなければならぬのですから――」
「お話ちゅうまことにおそれいりますが……」
取次ぎの若侍が、そう一段声を高めるのを、対馬守はまた無視して、
「で、日光造営奉行が、拙者ときまりましてから、江戸にいる家老に申しつけて、日光を中心にした四十里の地方と、江戸からの道中筋、駅馬などを残らず吟味させましたところが」
「殿様! ちょっとお耳を!」
どこ吹く風かと、対馬守はつづける。
「ところが、五石七石の田畑もちの小百姓はむろんのこと、田畑を多く持っている者も、馬を飼っている者は非常に少ない。まずこの、運搬に使用する馬の才覚が、このさい第一かと考えますが」
若侍は、取りつく島もなく、黙ってしまった。
「全く」
と別所信濃守は、うれい深げに腕組みをして、