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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

三

「そうそう! 兄貴に頼もう。兄対馬守をこの審判に引っぱり出そう。安積の爺、そち大急ぎで、林念寺前の上屋敷へこの旨を伝えに行ってくれぬか。それから、大八、硯と墨を持ってまいれ。もう一度、峰丹波に笹の便りをやるのだ」

三

麻布林念寺前の上屋敷で。

柳生対馬守が、お畳奉行別所信濃守を招じて、種々日光御造営の相談をしているさいちゅう、取次ぎの若侍が、縁のむこうに平伏して、

「ただいま、妻恋坂より、師範代安積玄心斎殿がお見えになりましてございます」

と言ったのは、玄心斎、こうして源三郎の命令で、急遽、使いにたったわけでした。

日光の御山を取りまいて、四十里の区域に、お関所を打たねばならぬ。用材、石、その他を輸送する駅伝の手はずもきめねばならぬ。打ちあわすべきことは山ほどあって、着手の日は目睫にせまっているのですから、対馬守はそれどころではない。

気が向かないと返事をしない人だけに、例によって、知らん顔をしていましたが。

安積玄心斎……と聞いて、ピクッと耳をたてた。

弟源三郎につけてある爺が、この夜中に、何事――?

と思ったのです。

「ナニ、安積の爺が」

しばらく考えて、