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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
二
「なるほど、まいりました」
若侍は笑って、手をのばしてそれを拾い上げた。
明るいところへ持って来て見ると、葉のついた笹である。
墨痕のにじんだ紙切れが、ゆわいつけてある。
源三郎は受け取って、
「今さら逃げを打つこともできまい。なんと言ってきたかな」
そう言いながら結び目をといてその二、三行の文字へ眼を走らせた伊賀の暴れん坊、
「馬鹿な!……真剣勝負に判定がいるものか。斬られて死ぬほうが負けにきまってるじゃアねえか」
「おお怖い!」
と、そばの萩乃が、両袖を抱くようにして顔をおおったのは、笑みを含んでこう言いはなったときの源三郎の身辺に、一種言うべからざるすごみが、サーッと電光のように流れたからで。
源三郎づきの伊賀侍のうちから、首領株の数人が、這いだすように膝で畳をすって、つぎの間から現われた。源三郎は紙片を振りまわして、
「コレ、これを見るがよい。丹波め、すっかり臆病神にとりつかれたとみえて、立ちあいの判定がなければことわると申してまいった」
谷大八がのぞきこんで、
「フフン……お申しこしの儀は、真剣勝負とは申せ、柳生一刀流と不知火十方流のいわば他流仕合いにつき、相互の腕以上の判定者を立ちあわしむるを至当とす。