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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

十二

それが戸外へ出て、ドッと夜風に吹かれると同時に、一度に発した酔い。

「マア、そうせくこともあるまい」

ひとりの言葉をいいことに、みんな穴のまわりにすわりこんでしまった。そして、足で土くれを落としてみながら、気味わるそうにだまりこくっている。

石をさがしに行った結城左京ら二、三人は、近くの暗中をウロウロしているらしく、帰ってくるようすもない。

「結城どの、石はあったかナ?」

穴のふちから、たれかがきいた。と、

「石でふさがず、貴様らのからだでふさげばよい」

うしろで、暗黒が答えた。

十二

石で穴を埋めるかわりに、貴様たちのからだで埋めるから、そう思え……。

太い濁声が、闇からわいて!……。

ギョッとしてとびのいた、穴のまわりの連中、暗黒をすかしておよび腰だ。

「お、おい、結城殿、左京殿。何を冗談を言うのだ――」

最初は、ほんとに、石をさがしにいった結城左京が、こっそり帰ってきて、ふざけているのだと思ったので。

「いいかげんうすッ気味のわるい役目を引き受けて、おっかなびっくりのところだ。おどかしっこなしにしようぞ」

そんなことを言いながら、ふと思ったことは。

どうも、声がちがう……?