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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

六

「ほほう、でえじにすりゃア一生使える命、そんなに斬ってもれえてえのか」

左膳はそう言って、薄く笑った。そして、下唇を突き出して、フッフッと息を吹き上げるのは、ひたいに垂れかかる乱髪が邪魔になるのです。

竹田の存在など、てんで眼にもはいらないように、いつまでも毛を吹き上げている。

「地獄の迎えだッ!」

うめいた左膳、割り箸を開くように、二本のほそいあしがパッととびちがえたかと思うと、その上体はたいらにおどって、竹田の右肩から左脇腹へかけて一閃の白い電光がはしったと見る!

それきりです。

いばりかえった顔のまんま砂まみれに二、三度ころがった竹田の死骸。

一同は、わけのわからない叫びをあげて、ちらばりだした。

六

異様な微笑をもらした左膳、追いすがりに、タタタと砂をならして踏みきるがはやいか、また一人二人、うしろから袈裟がけに……。

なめきっていた相手に、この、神に似た剣腕があろうとは!

石川左近将監の家来一統は、白い砂浜にごまを散らすように、バラバラバラッと――。

宰領の竹田が、血煙たてて倒れたのですから、もう壺どころのさわぎではない。

お壺の駕籠をそこへおっぽりだしたまま。