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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

おいらが手引きを

一

ソーラ! この羽ばたきの音がてめえたちには聞こえねえかッ!」

と左膳、左腰に差した大刀の鍔元を、一本しかない左手に握って、体を落としざま、ゆすぶった。

カタカタと、鍔が鳴る。

一同は立ちすくんでいます……すわっているのは、丹波だけ。

先生、腰が抜けたんじゃアあるまいな。

おいらが手引きを

一

「丹波ア……!」

鬼哭を噛むような、左膳の声が。

「汝アこの女――」

と左膳、かたわらにいすくむお蓮様へ、キラリと一眼をきらめかせたのち、

「汝アこの女と、同じ穴の狸だな、イヤさ、同臭のやからだな」

ぐっと調子をさげて、

「おもしれえ。おれア伊賀の源三郎に、なんの恨みつらみもねえ痩せ浪人。だがナ、人間にゃア縁ごころてえものがある。またこの丹下左膳の胸には、男の意気というものがあるのだ!ッ」

ひとことずつ言葉を句ぎって、そのたびに左膳、一歩一歩と峰丹波に近づく。

どうしてこの鎧櫃のなかに、人もあろうに、この白面の殺人鬼がひそんでいたのだ?

愕然呆然たる丹波の胸中を、雨雲のごとく、あわただしく去来するのは他なし、この疑念のみ。

だが。

そんな詮索は、今のところゆとりがない。