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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
六
「チョッ、殿様、峰の旦那! 寝ている場合じゃアござんせんぜ」
六
与吉から、委細の話を聞いた峰丹波は、
「ウム! これは、日光の方角に、何やら容易ならぬことが行なわれんとしておるに相違ないテ。ことによると、あの方面にこけ猿の茶壺があるとでもいうような、有力な聞きこみがはいって、それでこうして三組の者どもが、あわてふためいて日光へ向かったのであろう」
じっと何事か沈思におちていた丹波、ハタと膝を打って、ニヤリとした。
「与吉、日光を見ざるうちは、結構と言うなかれじゃ。そちも見物にまいるか」
「ヘエ、ぜひお供いたしてえもので」
そこで丹波、どういう策略があるのか、あわただしく、起きぬけの萩乃に目通りを願い出て、
「サテお嬢様、今日まで私は、意地ずくから、心ならずも源三郎さまにお敵対申しあげ、あなた様にも由ないお苦しみをおかけ申してまいったが、御存じのとおりお蓮の方は、逐電あそばされるし、拙者もつくづく考えるところござって、このたび転向……」
転向? そんなことは言わない。
「このたび源三郎様におわびを申し入れましたところ、さすがは理のわかったお方、今までの非礼をことごとくおゆるしくだされましたのみならず――」