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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
三
そうすれば。
人相も知れないほどに焼けただれた、あの若侍の死骸と、壺を、源三郎とこけ猿ということにして、本郷の道場へ持って帰る。
もうその手はずがすっかりととのって、いま、この納屋の一隅には、白布をきせたその焼死体と、焼けた茶壺とが、うやうやしく置いてあるのだ。
峰丹波、今宵ほど酒のうまいことのなかったのも、むりはない。
狭い物置小屋に、一本蝋燭の灯が、筑紫の不知火とも燃えて、若侍の快談、爆笑……。
さては、真っ赤に染めあがった丹波の笑顔。
だが、その祝酒の真ん中にあって、お蓮様だけは、打ち沈んだ表情を隠しえなかったのは、道場を乗っ取るためとはいいながら、かわいい男をだまし討ちにした自責の念にかられていたのであろう。
すると――。
この騒ぎのきれ目切れ目に、どこからともなく風に乗って聞こえてくるのは、異様な子供のさけび声。
「父?……父上! 父上!」
一同は、フト鳴りをしずめた。
「まだ吠えておるゾ。かの餓鬼め!」
だれかが歯ぎしりしたとき、ふたたび、悲しそうなチョビ安の声が夜風にただよって――。
「父上! 聞こえないのかい? 父上!」
三
遠くのチョビ安の声に、鳴りをしずめて聞きいっていた不知火の連中は、