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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

生命の辻

一

「いやなこった! ここでお前さんを見つけた以上、あたしゃもうもう、どんなことがあっても離れやしないよ。柳生の屋敷へなど、二度と帰りはしないから」

左膳は無言。

ついてくるならかってに――と言わぬばかり、どんどん歩を早めて、浅草竜泉寺の方角へ。

お藤姐御も、おくれじと急ぐ。変てこな二人行列。

生命の辻

一

女のほうからおもわれると、その女に対して、たいした興味を持たなくなる……これが、色事師の常らしい。柳生源三郎も、その一人。

お屋敷育ちの武家娘らしい、つつましやかさで、萩乃が自分を恋していることは、百も承知しているのだが。

サテ、そうなってみると、萩乃とほんとうに千代をちぎり、この道場のあるじとなり、永久にここに根をはやそうというほどの、執着心もわかない。

ことに、それにはまだひとつじゃまがある。

それは……峰丹波の存在。

御後室お蓮様は、ある夜ひそかに道場を出奔して、行方不明になったものの、丹波はいまだに、その邸内の別棟に頑張って、いっかな動きそうにない。

ああして真剣仕合いをいどめば、判定人を立ちあわせろというので、あの田丸主水正を兄対馬守に仕立て、ひと思いに丹波を斬ってしまおうとしたところが、あのとおりに狂言がばれて、丹波の首は一日のばしに、まだつながっているというわけ。