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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

お山四十里

一

剣眼隼よりも鋭い柳生対馬守さすがに、あの、上様と愚楽と、越前守とで編みだしたからくりを、まだ話を聞かぬ先に、みごとに見抜いてしまったのだ。

「恐れながら、かの愚楽老人より、それとなく申しふくめられまして……日光は迫るワ、こけ猿は見つからぬワ、という御当家にとり危急存亡の場合、ともかく、このお庭隅に一夜づけに埋ずめました金銀を掘り出しまして、さっそくの御用にあい立てましたほうが、策の得たるものかと存じまして――」

対馬守は、不機嫌に黙りこんだ。

これは主水正の言うとおりで――将軍吉宗の考えとしても、日光に事よせて、隠してある金を使わせるのが目的。こけ猿がなければ日本一の貧乏藩に、大金のかかる日光を押しつけて、柳生家を取り潰してしまおうというのは、決して本意ではない。

柳生だって、ない袖は振られぬから、そこで、どんな騒動が持ちあがらないともかぎらない。苦しまぎれに暴れだして、天下の禍根とならないともかぎらない……というので、今になって、いわば救いの手をさしのべたわけだ。

これは、愚楽老人と大岡越前守の献策。

いかに剛情我慢の対馬守でも、今の場合、これをこけ猿によって得たもののごとくよそおって、掘り出さざるをえない。