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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
人身柱
一
そして、ほうほうの体で、麻布林念寺前の上屋敷へ引きあげていったが――。
峰丹波もガッチリしたもので、釣瓶落しを鞘におさめた彼、悠然たる態度で源三郎の前へ引っかえして来た。
「条件が違うではござらぬか、源三郎殿、拙者よりも貴殿よりも、一段と業の上の者が判定に立ちあうのでなければ、他流仕合は、いっさいごめんこうむる。これが、当十方不知火流の掟じゃと、申しいれてあるはず。この始末では、今日の立ちあいはお流れ、お流れ……」
と丹波は、白扇をひらいて、自分をあおいだ。
人身柱
一
日光を見ないうちは、結構と言うなかれ……その結構の入口は。
例の杉並木ですなア。
すばらしい杉の古木が、亭々と道の両側に並ぶ下を、
「エイ! 下におれイ! 下におろうッ!」
と、一里もつづく長い行列が、いま浮世絵のように通っているのは、江戸は麻布の上屋敷を発して来たお作事奉行、柳生対馬守様、つづく一行は同じくお畳奉行、別所信濃守様のお供ぞろい。
干瓢と釣り天井で有名な宇都宮の町もうち過ぎ、あれからかけて、徳次郎、中徳次郎、大沢、今市……。
そして、お行列は、今やこの日光例幣使街道の杉の並木に、かかっています。