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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

十三

十三

武器を持っていないのが、一期の不覚だった。

刀を帯しているのは、結城左京ほか、二、三人だけ。

他の連中は、商人や百姓に扮したまま、穴埋めに出て来たのだから、納屋にころがっていた鍬や鋤をひっかついでいる……これでは、いまここへ現われた異様な人物に、対抗のしようがない。

物置小屋へひっかえして、両刀を取ってくる――一同の頭にひらめいたのは、このことだった。

合惣を肩までたらし、むしろのような素袷に尻切れ草履。貧乏徳利をぶらさげて、闇につっ立っている泰軒先生――……これを泰軒先生とは知らないから、司馬道場の連中は、めっぽう気が強い。

結城左京が一歩進み出て、

「われらは、火事に焼けた当家の者、あと片づけに来たまでのことです。どなたか存ぜぬが、何やら言いがかりをつけられるとは、近ごろもって迷惑至極――」

「夜中をえらんで焼け跡の整理とは、聞こえぬ話だ。穴でも埋める仕事があるなら、わしも手つだってやろうかと思ってナ」

左京は、つと仲間をふり返って、

「こいつはおれが引きうけた。かまわぬから、すぐ埋めにかかれ」

「小父ちゃん、居候の小父ちゃん! 早くお父上を引き出しておくれよ。