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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
宇治は茶どころ
一
と、ひとくさり茶壺の説明をはじめました。
ひっそりとした大奥の夜気に、太い、おちつきはらった越前守の声が、静かな波紋をえがく。吉宗も愚楽も、いつのまにか緊張して、聞き入っています。
宇治は茶どころ
一
越前守は、静かな声でつづけて、
「御存じのとおり、茶壺にはいろいろの焼きがございますが、各大名の壺をあずかりました茶匠においては、禄高、城中の席順に関係なく、壺の善悪によって、棚の順位を決めるのでござります。いかに大藩の茶壺でも、壺そのものが名品でなければ、上位には据えられませぬ。また、小藩の茶壺なりとも、名器でござりますれば、上位を与えられますのが、これが、宇治の茶匠の一つの権威とでも申しましょうか? イヤ、上様の前をはばかりもせず、先刻御承知のことを、かように談義めかしておそれ入りまする」
ひれ伏そうとする忠相を、愚楽老人がそばから、制するような手つきとともに、
「イヤ、話にはおのずと、順序というものがござる、かまわずお続けめされい」
吉宗様も、ニッコリおうなずきになって、
「それで?」
と、うながされる。
「ハッ……それで、各大名は、おのずと壺の順位を争いまして、万金を投じて伝来の茶壺をあがない求めまするありさま。