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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
03 日光の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页
四
「さようで。拙者一度は、この日光のおつとめをいたしたいものじゃと、こころがけておりましたが、やっとその念願がとどいたわけで」
と二人は、しごくまじめ顔だ。
本心をさぐり合うような眼を交わしている。
「ところで――」別所信濃守は言いにくそうに、しばらくモジモジしていたが、
「あの、おしたくは?」
思いきったようにきいた。
四
おしたく……下賤の者ならば、おや指と人さし指で、丸い輪を作って見せるところだが。
そんなことはしない。
問いを受けた対馬守は、源三郎によく似た鋭い眼を、ほほえませて、
「御貴殿は?」
とききかえした。
信濃守は、ちょっと頭を下げて、
「ハア、どうやらこうやら……御尊家には、とうにこけ猿の茶壺が見つかったという評判で」
「そのとおり。某所に埋ずめてあった伝来の財宝も、とどこおりなく掘り出すことができました。すなわちあれに――」
と対馬守、すました顔で、床の間のほうへ眼をやった。
別所信濃守も、これではじめて気がついたというわけではない。
実は、さっきこの広い書院に通されたときから、それが気になっていたのだが……。
その床の間には。
小判をいくつか白紙で包んだらしい、細長いものを、山のように積み上げた三宝が、ところせましとまでならべられ、二段三段に重ねて置いてある。