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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

03 日光の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 页

青空文庫

二

軒を貸して母家を取られる――ということわざがあるが、まさにそのとおり。

宏大な屋敷のほんの一部に、お蓮様、峰丹波など、以前からの不知火道場の連中が追いつめられて、これは、小さく暮らしているに反し、奥のいちばんよい住居のほうは、伊賀侍の一団が占領して日夜無言のにらみ合い。

若君源三郎はいなくても、安積玄心斎、谷大八等、すこしもあわてません。

「なんの、源三郎様にかぎって、まちがいなどのあろうはずはない。かならず今にも、あのとおり蒼白いお顔で、ブラリと御帰還になるにきまっている」

一同、こうかたく信じて疑わないから、源三郎がいなくても平気なものだ。あい変わらず傍若無人に振る舞って頑張っている。

ただ。ゆうべの今朝。

そのゆうべ、隻眼隻腕の浪人が道場のほうへあばれこんで、多勢の司馬の弟子どもを斬りたおし、萩乃をさらって立ち去った……あのさわぎには、玄心斎をはじめ谷大八、どっちへついていいかとまちまちの議論が沸いたが、朝になってようすをうかがうと、お蓮様や丹波は、何事もなかったかのようにヒッソリとしている。

「たとい祝言はまだでも、萩乃様は若殿の奥方様じゃ。